「パルス電磁場療法(PEMF)」は、近年さまざまな健康グッズや医療機器で取り上げられている注目ワードです。
一体どんな仕組みで、どんな効果が期待されているのでしょうか?
本記事では、最新研究の傾向をふまえつつ、難しい言葉はなるべくかみ砕いて、中学生でもイメージしやすい視点で解説していきます。
パルス電磁場療法(PEMF)とは?

パルス電磁場療法(PEMF:Pulsed Electromagnetic Field Therapy)は、時間的に変化する電磁場を体に照射することで、細胞の電位バランスやイオンチャネル、血流、炎症反応などに影響を与え、生体の回復を促進しようとする非侵襲的な治療法です。
医療機関では骨折治療や疼痛管理などにも使われます。
簡単に言えば、“細胞にやさしい電気のゆらぎを送り、弱っている部分にスイッチを入れてあげるようなケア”です。
- ⚡電磁パルスを体に当てる
- 🎯体の深いところまで届く
- 🔋細胞膜の“電気バランス”に作用する
- イオンの流れが整い、細胞が“動きやすくなる”
- ⚙️ATP(細胞のエネルギー)が作られやすくなる
- 💉血流がスムーズになる
- 🔥炎症や痛みの信号が落ち着く
- 🛠️組織の修復が進みやすい環境が整う
①電磁パルスを体に当てる
PEMF機器から「パルス状の電磁波(電気+磁気の微弱な刺激)」が体に送られます。
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- 規則的に「トントン…」と細胞に信号を送っている
- 弱いWi-Fiのような“信号”が体をすり抜けていく
②体の深いところまで届く
電磁場は皮膚や脂肪を通り抜けやすく、筋肉・神経・骨の深い層まで届きます。
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- 金属探知機の磁気が地面の下のものに反応するように
- 光では届かないけど、磁気なら奥までスッと届く


③細胞膜の“電気バランス”に作用する
細胞の外と中には電気の差(膜電位)があり、これが乱れると働きが弱まります。
PEMFはこの電気バランスに軽い刺激を与え、細胞が本来の動きをしやすい状態に整えます。
細胞膜はただの仕切りではなく、電気的な性質をもつ膜です。
- 細胞の外:+(ナトリウム Na⁺、カルシウム Ca²⁺ が多い)
- 細胞の中:-(カリウム K⁺、タンパク質由来の陰イオンが多い)
この差によって
👉 膜電位(通常 −70mV前後)
という電圧が生まれています。
これは例えるなら、
スマホのバッテリーが常に充電された状態に近いです。
電気バランスは、主に次の仕組みで保たれています。
🔹 イオンチャネル
- Na⁺、K⁺、Ca²⁺ などが通る“扉”
- 開閉することで電圧が変わる
🔹 イオンポンプ(Na⁺/K⁺ポンプ)
- ATP(エネルギー)を使ってNa⁺を外へ、K⁺を中へ運ぶ
- 電気バランスを積極的に維持
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- 止まりかけている掃除ロボットに「起きて!」とリセットの信号を送る
- 低電力でフリーズしたスマホを再起動させる
④ イオンの流れが整い、細胞が“動きやすくなる”

画像引用:大塚製薬より
カルシウム・ナトリウムなどのイオンは、細胞の活動に重要です。
PEMFはイオンチャネルの働きに作用し、必要な物質が細胞に出入りしやすくなる状態を作ります。
🔹🧂 ナトリウム(Na⁺)
- 細胞を「動け!」と目覚めさせる合図を出す役割(スタートボタンのイメージ)。
🔹⚡ カリウム(K⁺)
- 興奮しすぎた細胞を元に戻す役(ブレーキボタンのイメージ)。
🔔 カルシウム(Ca²⁺)
- 「今から動け」「分泌しろ」と細胞に指示を出す(指令ベル、緊急放送のイメージ)。
🧠 塩化物イオン(Cl⁻)
- 細胞を「静かにさせる」係(音量調整つまみのイメージ)。
🔋 マグネシウム(Mg²⁺)
- イオンたちが暴走しないよう支える(調整役のマネージャーのイメージ)。

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- 詰まり気味の水道管の流れがスムッと良くなる
- ドアが固くて開きづらかったのが油をさして軽く動く
⑤ ATP(細胞のエネルギー)が作られやすくなる

細胞が元気を出すためのエネルギー=ATP。PEMFはその生成を助けるという研究報告があります。
特に先ほど説明した、カルシウムイオン(Ca²⁺)は、細胞に「ATPを作れ」という指令を出す役割を持っています。
PEMFは、このカルシウムイオンのシグナルが過剰にも不足にもならないよう整え、細胞がエネルギーを作りやすい状態を支えると考えられています。

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- スマホの省エネモードが解除されて、処理スピードが戻る
- エンジンの燃料効率が良くなって、車が軽く走る
⑥ 血流がスムーズになる

このようにしてできたATPは、血管を動かす細胞のエネルギー源でもあります。
ATPが十分に作られることで、細い血管がスムーズに広がりやすくなり、結果として血の巡りが整い、酸素や栄養が届きやすくなる可能性があります。
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- 細いホースに優しく振動を与えて水が通りやすくなる
- 川底の小石を動かして流れやすい道を作る
⑦ 炎症や痛みの信号が落ち着く
痛みや炎症は、体が出している「危険信号」です。ATPが十分に作られることで細胞の修復や働きが進み、この信号を出し続ける必要がなくなり、炎症や痛みが落ち着きやすくなると考えられています。
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- 騒がしいアラーム音が「だんだん静かになる」イメージ
- 暴走している火(炎症)をやさしく鎮火させる霧吹きみたいなもの
⑧ 組織の修復が進みやすい環境が整う
細胞の働き・血流・炎症が整うことで、筋肉・骨・神経などの修復がスムーズに進む状態が生まれます。
1️⃣ PEMFが体に届く
→ 微弱な電磁刺激が細胞に伝わる
2️⃣ 細胞が反応しやすくなる
→ 細胞の電気的な環境が整う
3️⃣ ATPが作られやすくなる
→ エネルギー工場(ミトコンドリア)が動きやすくなる
4️⃣ 血の巡り・修復が進む
→ 酸素・栄養が届きやすくなる
5️⃣ 炎症や痛みの信号が落ち着く
→ 体が「もう危険じゃない」と判断する
研究で期待されている主な効果
現在、多くの研究が進んでいますが、特に以下の4つが注目ポイントです。

- 痛みの軽減(痛みケア)
- 骨や組織の修復サポート
- 血流の改善
- ストレス・睡眠への影響
骨治療(最も確立)
非癒合骨折や一部の融合手術の補助としてPEMFの使用は長く研究され、医療機器としての承認・ガイダンスがあります。臨床試験・メタ解析でも骨癒合に関する肯定的報告が多数あります。
変形性関節症・慢性疼痛
変形性膝関節症など筋骨格系の痛みに関しては、RCTや系統的レビューが多数ありますが、研究によって結果が分かれる点が特徴です。施設・機器・パラメータの違い、盲検化の難しさなどが影響しており、「有効とする報告」も「有効性を示さない報告」も見られます。
参考文献:Current Evidence Using Pulsed Electromagnetic Fields in Osteoarthritis: A Systematic Reviewより
神経再生・創傷・神経疾患(探索段階)
末梢神経再生や創傷治癒、多発性硬化症の疲労改善など、プレ臨床や小規模RCTで有望な結果が見られる領域もありますが、いずれも大規模・高品質なエビデンスが不足しています。したがって「研究段階で期待できる」領域と位置づけられます。
安全性・禁忌
一般にPEMFは非侵襲で重篤な有害事象は多く報告されていませんが、ペースメーカーなどの体内電子機器や妊娠中は禁忌とされる場合が多いです。また、家庭用機器の品質や出力がまちまちである点、長期使用のデータが限られる点には注意が必要です。治療を受ける際は医療機関での相談・機器の適合確認が重要です。
参考文献:PEMF therapy: what are the contraindications?より
以下はBEMERというPEMFセラピー製品を扱う会社による、血流改善の動画です。参考までにどうぞ。
PEMF(パルス電磁場療法)はどんな人に向いている?
PEMFは、次のような方に向いていると考えられます。
- 慢性的な疲れが抜けにくい
- 冷えや血行の悪さを感じる
- 体の回復力を高めたい
- 痛み止めに頼りすぎたくない
- 運動後や仕事後のケアを探している

まとめ
PEMF(パルス電磁場療法)は、細胞の環境を整え、ATP(エネルギー)が作られやすい状態をサポートすることで、
血流・修復・回復が進みやすい体づくりを目指すアプローチです。
強い刺激で無理に変えるのではなく、体が本来持つ力を引き出すための土台づくりとして、PEMFは選択肢のひとつになり得るでしょう。



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